不倫の慰謝料を請求する場合、気になるのは慰謝料の金額です。
実は、不倫の慰謝料は、交通事故などの慰謝料と違って、一律にいくらという明確な基準がなく、個々の事案の様々な事情を総合的に判断して金額が決められています。
裁判で認められた慰謝料の金額としては、50万円~500万円と差がありますが、平均的には、100万円~300万円が相場といえるでしょう。
但し、稀ですが、婚姻期間が30年以上のケースで、1000万円の慰謝料が認められたケースもあれば、不倫が認められたのに慰謝料が50万円以下だったケースもあり、個々のケースによって金額は様々です。
このように金額にバラつきがあるのは、個々の事案に応じて、事情が異なるからです。
不倫の慰謝料の金額を決定するのに考慮される事情としては、以下のようなものがあります。
上記の事情を総合的に判断して、慰謝料の金額が決定されることになります。
次に、不倫相手に対する慰謝料の相場をご説明します。
不倫により婚姻が破綻した場合でも、その主な責任は、不倫した配偶者にあり、不倫の相手の責任は副次的なものと考えられているのが今の裁判実務です。
よって、不倫相手の慰謝料の金額は、不倫した配偶者より減額されるのが通常です。
裁判で認められた慰謝料の相場としては、100万円~200万円です。
但し、交渉の場合は、これより高額な金額を支払ってもらうこともありますので、200万円以上の慰謝料を支払ってもらえたケースもあります。
不倫の慰謝料請求において、不倫した配偶者とその相手は、共同不法行為者となって、両者は、不真正連帯債務の関係になります。
不真正連帯債務の場合には、債務者のどちらに対しても債務の全額の支払いを請求できます。
ただし、不真正連帯債務の場合にも、対象の債務は1つなので、債務者らに対して債務額を超えて二重に支払いを受けることはできません。
例えば、不倫した夫には300万円の慰謝料、その相手には150万円の慰謝料が認められたとします。この場合、夫は300万円の支払義務を負いますが、不倫相手は、その内の150万円を限度として夫と連帯して慰謝料支払債務を負うことになります。300万円+150万円の合計450万円を支払ってもらえるわけではないことに注意が必要です。
但し、これはあくまで裁判になったときの考え方なので、裁判ではなく、弁護士の交渉によって、夫から300万円、不倫相手から150万円の合計450万円を支払ってもらえたケースも実際にあります。